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Posted by んだ!ブログ運営事務局 at

お家騒動の結末

2010年08月30日

a 控訴人会社においては,株主総会,取締役会の開催等の会社の意思決定につき,総株主及び取締役会間において,商法上の厳格な規定のとおり行うのではなく,これを簡略化し,甲家の跡取りで亡Eの長男であるFに一任する旨の合意がなされていた。
b 被控訴人らは,控訴人会社の取締役ないし監査役でありながら,実質的には,登記簿上だけの形式的な存在であり,その任務を果たしていなかった。
c Fは,昭和62年8月31日から昭和63年10月20日までの間,控訴人会社の廃棄物処分場の事故が原因で,刑事責任を追及され服役した。その少し前ころに,控訴人Aの父親である訴外GはFや被控訴人Bから依頼を受けてFを援助するようになり,同人が出所後も,訴外Gが継続的に援助をした。
 平成2年終わりころ,訴外Gが控訴人会社の取締役に就任し,平成3年3月に控訴人会社の商号を変更して,訴外Gが代表取締役に就任した。その後,控訴人Aが代表取締役に就任して,Fを介して被控訴人らを含む甲一族の了承を得ながら,控訴人会社の意思決定を行ってきた。
d ところが,平成10年3月ころ,税務調査が入り,控訴人会社の経理処理を独立に行うよう指導があり,それまで,Fが収受し,個人の借金の返済に充てていた訴外株式会社コーエイディスポウズ(以下「訴外コーエイ」という。)の処分料について,Fの借金返済がいつまでも終了しないことに疑問を抱いた訴外Gや控訴人Aから,訴外コ
ーエイの処分料を控訴人会社に支払うよう要請したところ,被控訴人らは本件訴えを提起してきた。
e 訴外Gや控訴人Aは,F及び被控訴人らを含めた甲一族との間で協力関係を形成し,同人らの利益のため協力していたにもかかわらず,被控訴人らは,自ら関与し,少なくとも事情を十分知り,長年容認しておきながら意思決定手続の瑕疵を根拠にそれまで認めていた本件新株発行の存在を争うに至ったものである。
 被控訴人らによる本件訴えの主たる目的は,本件新株発行を不存在とすれば,控訴人A及び訴外Gの控訴人会社に対する影響力を排除することができ,従前の訴外コーエイの処分料をFに環流させる処理を維持継続できると考えたもので,専ら,会計処理上正当でない処理を維持,継続することにある。
 よって,被控訴人らの控訴人Aに対する本件訴えは,信義誠実の原則ないし禁反言に反するもので,却下されるべきである。
f また,控訴人会社に対する本件新株発行不存在確認の訴えは,その請求認容判決が第三者である訴外G及び控訴人Aに対してもその効力を有することから,同人らに対する信義則違反,禁反言の原則に違反するものになることは同様であり,これも訴権の濫用となる。  


Posted by ケイガーリー at 12:49Comments(0)

有印私文書偽造,同行使,詐欺

2010年08月23日

検察官の論旨は, 被告人を懲役2 6 年に処した原判決の量
刑は, 無期懲役をもって臨まなかった点で軽すぎて不当であ
るというのであり, 弁護人の論旨は, 原判決の上記量刑は重
すぎて不当であるというのである。
所論にかんがみ, 記録を調査し, 当審における事実取調べ
の結果をも併せ検討する。
本件は, 被告人が, 勤務する小学校の教職員出張旅費の払
戻名下に預金払戻請求書を偽造, 行使して信用金庫から現金
をだまし取り( 原判示第1 ), その発覚を免れようとして同
校の校長を殺害する目的で予備行為に及び( 同第2 の1 ),
その殺害計画を実行するのに妨げとなる同校の職員1 名を殺
害した( 同第2 の2 ) 事案である。
被告人は, 借金返済借金問題等に窮したことから, 同校の教職員出
張旅費払戻業務に従事していたことを奇貨として, 原判示第
1 の犯行に及んだが, その穴埋めをするための金策のあても
ないことから, 上記犯行が発覚するのも時間の問題であると
考え, 校長を殺害して校長が旅費の使い込みを苦に自殺した
ように装って犯行の発覚を免れることができないかなどと漠
然と考えるようになり, 原判示第2 の犯行前日に同校の教頭
が旅費支払の遅れに不審を抱いて調査しようとしているのを
知るや, このままでは警察に捕まって友人や交際相手からも
見捨てられてしまうなどと追いつめられた心境となり, 自分
が助かる方法としては校長を殺害するしかないと決意し, 他
の教員より早く出勤してくる校長を校内で殺害することとし,
そのためには朝一番で出勤してくる同校の公務補C が妨げに
なるので同女も殺害するしかないと考え, まず校長名義の遺
書を作成し, 次に同女をロープで絞殺した後, 校長を同様に
絞殺して首吊り自殺に見せかけようなどと具体的に計画を立
てた上, 深夜に校長室で校長名義の遺書を作成した後, 原判
示第2 の1 の犯行に及び, その後同女が出勤してくるのを待
ち伏せて, 原判示第2 の2 の犯行に及んだものであるところ,
原判示第1 の犯行の動機は利欲的かつ身勝手であって, 酌む
べき事情はなく, また, 原判示第2 の各犯行の動機は, その
ような犯行の発覚を免れて自分だけが助かりたいというまこ
とに身勝手なものであって, 人命軽視も甚だしく, 殊に, 校
長殺害の計画の妨げになるというだけの理由で殺害に及んだ
原判示第2 の2 の犯行の動機は身勝手極まりないというほか
はなく, その経緯や動機に酌むべきものは全くない。
犯行態様等をみると, 原判示第1 の犯行について, 被告人
は, 校長室に保管してある校長印を盗用して予め預金払戻請
求書を偽造した上, 持ち出した通帳とともに窓口に提出して
通常の払戻請求を装っており, 計画的犯行であって手口が巧
妙である上, 5 回にわたって犯行に及び, 詐取した金額も合
計2 1 万円余と少なくなく, 通帳等を廃棄するなど犯行後の
行動も芳しくない。また, 原判示第2 の1 の犯行について,
被告人は, 具体的かつ詳細に殺害計画を立てて, それなりに
周到な準備をした上, 絞殺するのに使用するロープを準備す
るなどしたものであって, 計画的で悪質である。そして, 原
判示第2 の2 の犯行について, 被告人は, 上記計画に基づい
て行動し, 準備を重ね, その一部を原判示第2 の2 の被害者
( 以下「被害者」という。) に見られて冷静さを失った面が
あるとはいえ, 無防備の被害者に対し, 強固な殺意をもって,
いきなり背後からその後頭部をめがけて手斧を力を込めて振
り下ろし, それだけでは被害者が死亡しなかったことが分か
るや, 確実に殺害するため, さらに手斧でその頭部を多数回
にわたって殴りつけ, 被害者の悲鳴や命乞いを一顧だにする
ことなく, 手斧や途中で折れた手斧の柄, さらには金槌でそ
の頭部や顔面を多数回にわたり執拗に殴り続けた上, とどめ
をさそうとして用意していたロープでその首を絞めたが抵抗
されたため, 付近にある理科室から持ち出した包丁で心臓の
あたりをめがけて胸部と背部を数回突き刺し, さらに頸部を
突き刺して, ついに絶命させたのであって, 被害者が死亡す
るまで何ら躊躇することなく種々の凶器を用いて連続的に暴
行を加えるという態様の冷酷さ残忍さは際立っており, 被害
者に合計3 5 か所もの創傷のほか多数の防御創を負わせ, 何
よりも死亡させたというその結果は極めて重大であり, 何の
落ち度もないのに同僚から突然極めてひどい暴行を加えられ
て2 4 歳の若さで生命を奪われた被害者の肉体的, 精神的苦
痛は量り知れないものがあり, 加えて, 被告人は, 包丁や着
衣等を投棄したり, 当日予定されていた行事に参加するなど
して, 自分が犯人であると疑われないように工作するなど犯
行後の行動も芳しくなく, しかも, 被害者の遺族の悲しみは
甚大であるのに, 原判決宣告の時点においても遺族に対する
慰謝の措置はほとんどなされておらず, 遺族の処罰感情には
非常に厳しいものがあり, さらには本件が児童や地域住民ら
各方面に与えた心理的悪影響も軽視することができない。  


Posted by ケイガーリー at 15:09Comments(0)

建造物侵入の場合

2010年08月19日

(法令の適用)
被告人の判示第1の所為のうち,建造物侵入の点は刑法130条に,窃盗の点
は刑法235条に,判示第2の所為のうち,住居侵入の点は刑法130条に,強
盗致傷の点は刑法240条(負傷させた場合)にそれぞれ該当するが,判示第1
の建造物侵入と窃盗との間及び判示第2の住居侵入と強盗致傷との間には,いず
れも手段結果の関係があるので,刑法54条1項,10条によりいずれも1罪と
して,判示第1については重い窃盗罪の刑で,判示第2については重い強盗致傷
罪の刑でそれぞれ処断することとし,各所定刑中判示第1の罪については懲役刑
を,判示第2の罪については有期懲役刑をそれぞれ選択し,以上は刑法45条前
段の併合罪であるから,刑法47条本文,10条により重い判示第2の罪の刑に
法定の加重をし,なお犯情を考慮し,刑法66条,71条,68条3号を適用し
て酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役4年6月に処し,刑法21条を適
用して未決勾留日数中40日をその刑に算入することとし,訴訟費用は刑事訴訟
法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 住居侵入,強盗致傷事件について
郵便配達員を装って家に入り,縛り上げるなど,あらかじめ犯行の段取りを
考えた上で,ガムテープや,エクスパック,手袋,目出し帽などを準備して犯
行に及んでおり,計画性が非常に高い。
高齢で小柄な女性を引き倒し,その脇腹を力一杯殴り,ガムテープで口や両
手首を縛るなど,粗暴で非常に危険な行為である。
犯行の途中で目出し帽を被り,相手に顔を覚えられないようにしたり,犯行
後に警察に通報されないよう脅した上で逃走するなど,犯行が発覚しないよう
に行動している。
準備したカッターナイフを使用していないものの,状況次第では使用するこ
とも想定して準備していたもので,使用しなかったのは,被害者が激しい抵抗
をしなかったからに過ぎない。
ただし,被害者が口腔内裂傷を負うこととなったのは,当初から被告人が意
図したわけではなく,偶発的な面もある。
被害額は24万円と一般的にみても決して少額ではない上,被害者にとって
貴重な生活資金である年金が含まれている。また,被害者は,全治約2週間を
要する傷害も負っている。
本件は,当時勤務していた葬儀会社における顧客であった被害者が,一人暮
らしの高齢の女性であることに目をつけ,被害者に狙いを定めて行ったもので
ある。顧客情報を悪用し,会社の信用を傷付けたという点や,被害者の境遇を
知りながら犯行に及んだという点は,重く見るべきである。
被害者は,夫に先立たれ,その心の傷が癒えないうちに今回の被害を受けて
おり,今後の一人暮らしに強い不安感を覚え,被告人に対し,厳しい処罰を求
めている。
被害場所は一人暮らしの高齢者が多い地域であったことから,付近住民に自
分も同様の被害を受けるのではないかとの不安を与えた(もっとも,犯行後間
もなく被告人が逮捕されたことにより,その不安は一定程度落ち着いたと考え
られる。)。
2 建造物侵入,窃盗事件について
現金が保管されているのを知った上で,手袋をつけ,スニーカーを履くなど
して犯行の発覚を防いだ上で犯行に及んでおり,計画性が認められる。
3 両事件の動機
借金返済のために闇金融に手を出し,その返済のため各犯行に及んだもので
ある。その心情は,闇金融による取立ての対応に窮したということに加え,妻
や親族に内緒でしていた借金がばれ,妻から離婚を迫られるのではないかと思
い詰めた面がある。
4 その他
各事件の被害者に対し被害金額を上回る被害弁償をしている。
今回の事件により勤務先を懲戒解雇(ただし,今回の両事件の性質を考える
と,当然の事態である。)され,離婚して長女とも別居せざるを得なくなるな
どの不利益を受けている。
逮捕後,犯行を素直に認め,窃盗については自首しており,反省と被害者へ
の謝罪の言葉を法廷で述べている。
犯罪歴はなく,真面目に仕事もしていた。
妹が監督を誓約しており,親戚が雇入れを申し出ている。  


Posted by ケイガーリー at 15:24Comments(0)